旅館


どこに描いてあったかは覚えていないんだけど、確か平安後期か鎌倉時代の文献で、今で言う旅館みたいなところに泊まったところ、部屋の壁に以前に泊まった客の描いた落書があって云々…みたいのを読んだ事がある。

現代で言えば泊まったホテルの部屋の壁に落書するようなもので、かなりとんでも無い事なんだけど、その落書きを見た旅客(文献を書いた人物)は年号のある書き付けを見て「ずいぶん古い落書きだな」と興がっていたようだ。そしてその文献を読んだ時の私は、どんな事が書いてあったかもっと詳しく書き残しておいてくれたら良かったのにと思ったものだ。
落書なんてものは紀元前の昔、エジプト旅行に訪れた旅行者がスフィンクスの足下にも描いていた。スフィンクスは何千年もかけて砂に埋もれていき、しまいには頭だけが砂上に出ている状態になって、近世になってから砂を取り除かれたわけだけど、すると出てくるわ出てくるわ、まるで落書きの地層のように、下へ行くほど古い落書きが。ピラミッドの天井裏には当時の職人の落書も残っているわけで、こうなるともうそれも一種の歴史的遺物って気もしてくる。